あなたは自分の事をどう呼んでいますか?
日本語では下記のように様々な呼び方があります。
- 私
- 僕
- 俺
- あたし
- わし
- オラ
そして、いつでも同じという方は少なくて、
- 夫婦や親子
- 友人や同僚
- 上司
- クライアント等
シチュエーションによって使い分けているのではないでしょうか。
では、英語で自分のことを指すとき、どう表現すれば良いでしょうか。
意外に困ってしまう方も多いかと思います。
この記事では、そんな皆様の悩みを解決するため、英語の一人称について、どういった表現があり、それをどう使いこなせば良いかについてまとめました。
英語の一人称はとてもシンプル
自分のことを指し示す言葉を総称して「一人称」と呼びます。
日本語は先述したように、ありとあらゆる言葉があります。
Wikipediaの「日本語の一人称代名詞」の項目には古い表現を含めて50個以上が羅列されていました。
では、英語はどうでしょうか。
Wikipediaの「Personal pronoun」(人称代名詞)のページの1人称記載はただ2つ、「I」と「we」だけでした。
日本語に比べてあまりにもシンプルです。
英語の一人称は「I」と「We」だけ
英語の一人称は上記の2つと後述する活用形のみです。
二人称、三人称のパターンは旧く使われてきた表現を含めると複数ありますが、一人称に関してはそのような表現は全く見当たりません。
男性でも女性でも、王様でもでも、命令でも謝罪でも、例外なく「I」と「we」で表現します。
関連記事:英語の3人称を簡単解説。誰でも完璧にわかります。
英語は「自分」を外から見ている
どうして「I」と「we」だけなのでしょうか?これは、「自分」についての考え方に起因するようです。
英語ではあたかも「自分」をボードゲームの駒のようにみなして外から観察し、固有の「I」という言葉で指し示していると言われています。
一方で日本語では「自分」を主観的に見ており、相手との立場によって変化させているため、いくつもの表現が存在しています。
これは英語、日本語特有のものではなく、前者であればドイツ語、フランス語、後者であれば中国語や韓国語など、文化圏による特徴と考えられます。
一人称はこうやって使います
一人称は実際にどのように使われているのでしょうか。基本的な活用形を以下に示します。
- 単数形の場合:I(主格)/my(所有格)/me(目的格)/mine(所有代名詞)
- 複数形の場合:we(主格)/our(所有格)/us(目的格)/ours(所有代名詞)
それぞれ「I」を使った簡単な例文を紹介します。「We」も文法上、同様に使用できます。
- 主格(~は) I can play the piano. (私はピアノを上手に弾けます)
- 所有格(~の) It’s my guitar. ―これは私のギターです
- 目的格(~に) Please give me a hand. ー私に手を貸して下さい
- 所有代名詞(~のもの) It‘s mine. ―これは私のものです
上の表現を丁寧に、少し謙遜して表現する場合であっても一人称は変わりません。
例えば、”Please give me a hand.” をより丁寧に表現した場合、
“Could you please give me a hand?” になります。
meの部分はそのまま、動詞部分の言い回しの変化や助動詞の挿入等で丁寧さを表現する形になります。
いかなる場合でも変化しない英語の一人称ですが、「自分」を表現するための言葉であるため、ある特定の条件では使用が避けられることがあります。
論文の執筆等、強い客観性を求められる場合です。例えば「~を観察した」と英語で表現したい場合、“I observed”の言い回しは用いず、三人称である”It is observed”といった言い回しが好まれます。
また、本来のルールから外れる形で、慣用的に使われる表現もあります。
以下の表現は正しいでしょうか。
- You and me (君と僕)
- It’s me! (僕だよ!)
実はどちらも文法的には誤りで、以下が正しい形になります。
- You and I
- It is I !
しかし、現在ではあまり使われず、先の表現が広く使われています。
「I」と「we」の使い分け
ところで、「I」と「we」はどのように使い分ければ良いでしょうか。
この2つには単数形と複数形以外にも意味の違いがあり、使い分けがみられます。
例えば、「私の会社」とはどのように表現すれば良いでしょうか。
”my company”と”our company”はどちらも正しい表現ですが、微妙にニュアンスが異なります。
”my company”と表現した場合、勤務先という意味に加えてオーナーであるといった解釈も可能です。
”our Company”の方がより一般的な表現といって良いでしょう。
また、次の2つの文はどちらも米国大統領選挙の演説の一説です。
- We can change !(私たちは変われるのです!)
- I will build a great, great wall on our southern border(私は南の国境に大きな、大きな壁を建設する)
前者がオバマ前大統領、後者がトランプ現大統領の演説です。
どちらも多くの人に向けて発信されたものですが、①が聞き手に働きかけ、参加を促しているのに対して、②は「俺がやるぞ」といった力強い意志を表現しています。
以上のような例を踏まえて、判断に迷った際は以下の様に使い分けると良いでしょう。
- 「I」…自分自身の責任や意見をはっきりさせたい時
- 「we」…自分の会社や組織の意見を伝えるとき、もしくはクライアントやパートナーと共同で仕事を行う時
まとめ
英語の一人称は「I」と「we」、その活用形だけを覚えておけば不自由することはありません。
しかし、この基本を押さえた上で、時と場合によって単数、複数の使い分けや敢えて一人称を使わないような表現を覚えることにより、あなたの英語をより洗練させることができます。
ぜひ、参考にしてください。