英語学習者や留学を考えたことがある人なら一度は耳にしたことがあるはずのIELTS。
IELTSは留学や海外移住の際に英語力の証明として使われることの多い試験ですが、一体どのような内容なのでしょう?
- IELTSって最近よく聞くけど何の試験なの?
- 留学などで受けようと思うけど、どんな内容なの?
この記事では、上記のような人のために、IELTSの試験概要からIELTSを受けるメリット、よく比較されるTOEFLとの違いについて解説していきます。
IELTS(アイエルツ)とは?
IELTSとは、世界140か国1200以上の会場で受験することができるテストであり、下記のような目的で、英語の証明を行うために使用する試験です
- 海外留学をするための英語力の証明
- イギリスやカナダなどの英語圏へ海外移住する際の申請資格
なぜ、留学や移住に使用されるのかというと、IELTSはイギリスやオーストラリア、カナダなどの高等教育機関で認められているテストであり、最近ではアメリカにおいてもTOEFLに代わるテストとして入学審査に使用されるなど、社会的認知度や信頼性が高く、英語力を証明するのに最適なテストと言われているからです。
IELTS試験の実施元は
- ブリティッシュ・カウンシル
- IDP:IELTSオーストラリア
- ケンブリッジ大学英語検定機構
ですが、日本では、公益財団法人日本英語検定協会が運営、広報を担っています。
そのため、日本語で試験の内容を確認する場合は、公益財団法人日本英語検定協会(いわゆる英検のサイト)で詳細を見ることができます。
試験の申し込みや試験結果についてもこちらのHPから確認できます。
アカデミック・ジェネラルモジュール
IELTSにはアカデミックとジェネラルモジュールの2つに分かれており、それぞれの試験目的の違いは下記になります。
- アカデミック→留学、海外の大学進学目的の英語試験
- ジェネラルモジュール→海外移住、海外労働、海外VISA取得目的の英語試験
試験目的以外に内容も、ライティングの出題問題でアカデミックは図形の解説などに対し、ジェネラルモジュールはお店へのクレームの手紙など、それぞれの試験に違いがあるので、あなたの目的に合った方の学習が必要になります。
※リーディングとライティングのみ出題問題が異なりますが、その他はは同じ問題です。
採点方法
IELTSのスコアは0から9.0までの0.5刻みで採点され、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングそれぞれを採点します。
この4技能の平均スコアをOverall(オーバーオール)のスコアとし、照明に使います。
点数の目安は以下の通りです。
- 9.0エキスパート
- 8.0非常に優秀
- 7.0優秀 (=英検1級相当)
- 6.0有能
- 5.0中程度 (=英検2級相当)
- 4.0限定的
- 3.0非常に限定的 (=英検3級相当)
- 2.0一時的
- 1.0非ユーザー
IELTSの試験概要
テストの内容は下記の4つのコンテンツで構成されています。
- リスニング(試験時間30分で約40問回答)
- リーディング(試験時間60分で約40問回答)
- ライティング(試験時間60分で大問2題回答)
- スピーキング(試験時間11~14分程度で3問、1対1の面接形式)
下記で詳しく解説していきます。
リスニング
- 時間:30分(その後、回答転記時間が10分与えられます)
- 問題数:40問
問題内容
IELTSリスニングの試験は4つのパートから構成されており、それぞれの内容は下記になります。
パート1:日常会話(2人)
パート2:日常生活での説明や予約(2~3人)
パート3:学術的な会話(最大4人)
パート4:学術的な講義(1人)
日常的な会話から、大学の講義など幅広い英語のリスニング力が求められます。
特にパート3以降は対策を行わないと、高得点を取るのは難しく、海外の大学進学の基準である6.5~7.0を取る為にはパート1、2をほぼ全問正解し、パート3,4で半分ほどの正解を取る必要があります。
リスニングの正解数とスコア表
スコア | 9.0 | 8.5 | 8.0 | 7.5 | 7.0 | 6.5 | 6.0 | 5.5 | 5.0 |
正解数 | 39-40 | 37-38 | 35-36 | 32-34 | 30-31 | 26-29 | 23-25 | 18-22 | 16-17 |
関連記事:IELTSリスニング対策・学習方法
リーディング
- 時間:60分
- 問題数:40問
リーディングの試験は3セクションに分かれており、それぞれの内容は下記になります。
セクション1:2~3つの短文が出題
セクション2:仕事に関連した2つの短文
セクション3:一般的なトピックを使った複雑な長文
それぞれに専門知識が必要な単語には解説がついているため、専門知識は必要ないですが、6.0以上のスコアを取る為には、対策が必須な難易度となっています。
リーディングの正解数とスコア表
スコア | 9.0 | 8.5 | 8.0 | 7.5 | 7.0 | 6.5 | 6.0 | 5.5 | 5.0 |
正解数 | 39-40 | 37-38 | 35-36 | 33-34 | 30-32 | 27-29 | 23-26 | 19-22 | 15-18 |
関連記事:IELTSリーディング対策・学習方法
ライティング
- 時間:60分
- 問題数:Task1(150語)、Task2(250語)
Task1:データを分析・比較し、それを説明する文章
Task2:出題される主張や問題についてのエッセイ形式
Task1:要求や希望、不満などを記載する手紙形式
Task2:出題される議論や問題についてのエッセイ形式
アカデミックでは大学進学をする上で必要な英語力が求められ、ジェネラルモジュールでは海外生活するうえで必要な英語力が求められる内容となっています。
ある程度文章が書ける人でも、IELTS用に対策を行わないと高得点を取るのは難しいほど、独特な出題内容となっております。
それぞれの採点基準は下記の4つになっています。
- 質問に適切に答えているか
- 一貫性はあるか
- 語彙力
- 文法力
関連記事:IELTSライティング対策・学習方法
スピーキング
- 時間:11~14分
- 試験官と1対1で面接形式
スピーキングでは大きく分け、下記の3セクションに分かれています。
セクション1:自己紹介
セクション2:出題されるテーマで、自分の意見や体験談
セクション3:セクション2で答えた内容をさらに詳しくディスカッション
採点基準
- 流暢さと一貫性
- 語彙力
- 文法力
- 発音
IELTSの受験会場や費用、申し込み方法
- IELTS受験料:25,380円
- 受験会場:札幌、仙台、東京、横浜、金沢、名古屋、京都、大阪、神戸、岡山、広島、福岡
- 結果発表:2週間後、オンラインと証明書が郵送で送られてくる。詳しくは別の記事でまとめています。IELTS試験の結果はいつ発表される?
- 申し込み:こちらのページよりオンラインで申し込みができます。詳しくは別の記事でも紹介していますので、参考にしてください。IELTS試験の申込方法
- 持ち物:パスポートなど、IELTSを受けるために必要な物がいくつかありますので、受験前にご確認ください。IELTS試験に必要な物
IELTSの難易度
難易度は目指すスコアによっても異なりますが、一般的に海外の大学進学に必要な6.5以上だと、それなりに対策をしないと難しいです。また、TOEICなどと違い、4科目あるので、本当の実力が出るといわれています。
難易度に関しては下記の記事で詳しく紹介しているので、参考にしてください。
関連記事:IELTSってどのくらい難しいの?【IELTSのレベル・難易度】
IELTSの試験を受けるメリット
IELTSの試験を受けるメリットは以下の3つがあります。
- 認知度と信頼度
- 海外への進学や移住
- 英語力の底上げ
世界的認知度と信頼度がある
IELTSの試験は、英語4技能と呼ばれる「リスニング」「リーディング」「ライティング」「スピーキング」のスコアを測る、英語の総合力テストです。
受験者数が世界で最も多いと言われる英語の試験であり、世界的な認知度や信頼度は抜群です。
海外への進学、移住などに役立つ
英語力を総合的に証明できるため、IELTSの高スコアを持っていると海外への留学や進学、就職、ビザ取得の際に有利に働きます。
一般的に、海外の大学に入学するための基準は、総合評価(オーバーオール・バンド・スコア)で6.0~6.5以上が必要です。
永住や移住の基準ですが、オーストラリアの場合、永住権を獲得するには各セクションで最低でも6.0以上のスコア、カナダの場合は移住・定住のために各セクション6.5以上が求められています。
(※注:入学やビザ取得の基準は学校や国により異なるので要確認)
英語力の底上げになる
IELTSでは単なる英語の知識ではなく、使える英語力が求められます。
IELTSの試験を受けるための英語学習は、4技能をまんべんなく学ぶので、英語力の底上げができます。英語が流ちょうに使えるようになると、進学先や就職先の選択肢が広がります。
TOEFLとの違い
「IELTSとTOEFLの違いがわからない」という声は、英語学習者の多くが抱く疑問の1つです。
IELTSとTOEFLの一番の違いは、IELTSがイギリスやカナダなどの大学進学や留学、移住に使われるのに対し、TOEFLは特にアメリカの大学へ進学・留学する際に使用されるテストであるという点です。
現在は、アメリカでもTOEFLとともにIELTSスコアを導入している高等教育機関が多くなりつつありますが、アメリカの2年制大学ではTOEFLスコアのみの受け付けです(2020年時点)。
また、イギリスの大学では、留学ビザを申請するにあたってTOEFLのスコアは原則使用できないことになっていますので、気をつけましょう。
なお、スコアの有効期限はIELTSもTOEFLも2年間となります。
他の英語検定試験の目的は?
TOEFL、TOEIC、英検とIELTSでは、それぞれの試験を要求される場面が異なります。
- TOEFL
⇒アメリカへの進学・移住で要求される場合が多い。 - TOEIC
⇒日本での就職で要求される場合が多い。 - 英検
⇒日本での就職・受験で要求される場合が多い。 - IELTS
⇒アメリカ以外の国(主にイギリス、EUの国々)への移住で要求される場合が多い。
なお、難易度としては(英検を除いて)スコア形式で出ますので、どのレベルの英語力でも受験は可能ですが、高いスコアを獲得するには日常会話〜大学の講義を受けるレベルの英語力が必要となってきます。
英検は難易度別に級が別れていますので、自身に合うレベルのものを受験してください。
関連記事:IELTSのスコアと他の試験のスコア比較
まとめ
- IELTSは英語の4技能を測るテストであり、世界的認知度も高い
- IELTSは持っていると「英語の総合力の証明」になる
- IELTSは汎用性の高い試験であり、TOEFLは主に米国への留学や進学に使用できる
IELTSは、スコアを持っていると自分の英語力の証明に使えます。
IELTSの試験対策をすること自体が、「使える英語力」のレベルアップに繋がり、高スコアを取得すれば進学や転職にも役立ちます。
さあ、あなたもIELTS試験に向けて勉強を始めてみませんか。